プロショップが蓄積したノウハウを伝授 なぜあの人はあんなにバイクが速いのか 第2回
ひとくちにスポーツバイクといってもいろいろなモデルがありますが、私たちが取り扱っているタイプでいうと、大きくふたつに分けることができます。ひとつがロードレーサー、もうひとつがトライアスロンバイクです。
一見、似たようなデザインや同じフレーム素材を使っていても、実はこれらは全くの別物と考えたほうがいいでしょう。競技スキーの板でたとえるのなら、大回転用と、クロスカントリー用との違いくらいあると認識してください。つまりは、使うツール(バイク)を間違うと、全然速く走れない、あるいは快適に走れなかったりするのです。でも、案外トライアスリートで、その落とし穴に陥っている人って多いんですねえ。
今回はその見分け方、ノウハウなどを紹介することにしましょう。
競技内容によって適材適所がある
ポイントとなるのはトライアスロンとロードレースの競技性の違いです。基本的に単独でタイムトライアル的な走りが要求されるトライアスロンに対して、ロードレースは集団内で体力を温存し、勝負どころでスパートをかけるような走りが主流といえます。
これにより、バイクに求められる性能も変わってきます。もう少し詳しく言うと、同じ性能項目でも『重要度』が違ってくるのです。それを、下の表に簡単にまとめてみたので、ご覧ください。これらの違いが理解できれば、自ずとあなたが必要とするバイクの輪郭が、浮き彫りになってくるはずです。
まずは『軽さ』。これはトライアスロン、ロードレースを問わず重要です。走行中の速度の上げ下げや、坂道を上るシチュエーションなどは、車体が軽いほうが少ないパワーで対応でき、燃費効率に有利に働くことにつながるからです。
しかし『エアロ効果(空気抵抗の軽減)』になると、大半を集団走行に費やすロードレースでは、それほど神経質にならなくてもOKですが、独走で空気の抵抗をまともに受けるトライアスロンでは、DHポジションに特化したフレームデザインが施されるなど、重視されるのです。
同じように『振動吸収性』は、たとえば、「ソフトな乗り心地をもつフレーム」という表現を使う場合もあり、バイクの後にランニングが控えるトライアスロンでは無視できません。一方ロードレースでは勝負どころで、ペダルに踏み込んだパワーをダイレクトに伝えてくれる硬いフレームを好む人も多いんです。
逆に、項目の後半にある、『高速性』『コーナーリング性』『加速性』などは、集団で走り、ペースの上げ下げといった駆け引き、大勢でコーナーになだれ込んでいくシチュエーションがあるといった、ロードレースのほうが重要視されるといえます。
素材でつかめる傾向性
ところで、そのバイクの走行性能を決める大きな要因にフレームがあります(大体これで7〜8割くらいは決まるといえるでしょう)。そして、そのフレームを特徴づける重要な要素のひとつとして、フレーム素材が挙げられます。
この素材は大きく『スチール』『アルミ』『カーボン』に分けることができ、一般の人でもある程度の判断基準として、利用することができる項目といえます。
トライアスリートにとって理想のフレーム素材とえいば、ズバリ『カーボン』になるでしょう。軽くて、ショック吸収性があり、その上、剛性も高い製品をつくることができるからです。ただ、難点はコストがかかること。その問題を解消し、軽さやショック吸収性も高いレベルを維持しているのが『アルミ』です。これからも、最もスタンダードな素材といえるでしょう。スチールはある部分、カーボンの対局にあり、最近のスポーツバイクでは、あまり見かけることはなくなりました。
以上のような性能や特性を熟考し、それぞれの目的や特徴に応じて、スポーツバイクは作られているんです。そういうことが分かれば、自ずと皆さん買い換えようと思っているバイク、あるいは今乗っているバイクの見方も、変わってくるのではないでしょうか?
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